『グレイテスト・ショーマン』の役者について


最高の役者たちには理由があった

音楽の次にこの作品を素晴らしい作品にしているのが、魅力的な俳優陣です。

主人公、バーナムを演じるヒュー・ジャックマンはX-Menシリーズでのウルヴァリン役のイメージが強いですが、出身のオーストラリアでミュージカル経験を積み、ブロードウェイデビュー作『ザ・ボーイ・フロム・オズ』でアメリカのミュージカル界で最も栄誉ある賞、トニー賞を受賞しているほどの実力者です。トニー賞の司会は3年連続、通算4度も務めています。ジャックマンとミュージカルといえば、近年ではミュージカル作品の映画版『レ・ミゼラブル』での圧巻のパフォーマンスを連想する人も多いかもしれませんね。今作でもジャックマンは持ち前のミュージカルの才能を披露していますが、映画で使用されている楽曲に合わせてポップスを歌うような歌い方をしている点も、大きな注目ポイントです。

バーナムの妻・チャリティーを演じるミシェル・ウィリアムズは、個人的にはミュージカルのイメージがなかったのですが、今作ではきれいな高音の歌声を披露しています。彼女は2014年には『キャバレー』という有名なミュージカルでブロードウェイのステージにも立っており、近年ミュージカル作品へ意欲的にチャレンジしている印象を受けます。

バーナムの相棒カーライルを演じたのは、ザック・エフロン。世界中で社会現象を巻き起こしたディズニーチャンネルオリジナルムービー『ハイスクール・ミュージカル』シリーズの主役や、人気ミュージカル『ヘアスプレー』の映画版でヒロインの相手役を演じるなど、ミュージカル作品で多く活躍し、若者を中心に人気を集めました。最近ではコメディー映画への出演が目立っていましたが、今作で自分の声と共にミュージカル作品に復帰し、当時とは違った、力強い大人なパフォーマンスを披露しています。

空中ブランコ乗りのアンを、全米のティーンを中心として絶大な人気を誇るゼンデイヤが演じています。出世作となったドラマ『シェキラ!』や、ダンスを競う番組『ダンシング・ウィズ・ザ・スターズ』での準優勝、そして歌手としての活動でそのダンスと歌の才能を披露しているだけでなく、プロデュースと主演を務めるドラマ『ティーン・スパイK.C.』ではアクションにも挑戦しているゼンデイヤ。今作では歌とダンスだけではなく、なんと、ほとんどスタントなしで空中ブランコのパフォーマンスを披露しています。今後、この作品が彼女の代表作になること間違いなしの演技を見せており、今後の活躍が大いに期待できるでしょう。

そして、何よりも忘れてはいけないのは、ひげ女ことレディ・ルッツを演じ、主題歌である「This Is Me」をメインで歌うキアラ・セトルです。彼女は舞台を中心に活躍している女優で、ブロードウェイ・ミュージカル『ハンズ・オン・ハード・ボディー』の演技でトニー賞をはじめとした様々な賞にノミネートされました。更に、こちらも人気のブロードウェイ・ミュージカル『ウェイトレス』に出演し、注目されています。アメリカのエンターテイメント界では、同じ俳優といっても、舞台・TVドラマ・映画などと演技をする場所がくっきりと分けられています。とはいうものの、最近ではだんだんとその区別がなくなってきています。けれどやはり舞台を中心に活躍するセトルが、このような多くのスクリーンで世界的に公開される映画でメインを務めることは珍しいことで、大抜擢と言えます。これを可能にしたのは、彼女の歌声に多くの人が感動したから。特に主演のジャックマンが彼女の歌声に惚れ込んだことで、彼女は一気に有名になりました。そんな誰もがうっとりとしてしまうようなセトルの歌声は、是非映画館で聞いていただきたいです。ただ残念なのは、これだけ魅力あふれる役者陣が揃っているのに、一人一人のキャラクターがあまり深く語られていない点で、もったいない気持ちを覚えることは否定できません。

 


Next→→『グレイテスト・ショーマン』他の作品を比較しよう!

その1→『グレイテスト・ショーマン』作品を通して

黒木りりあ 登録者

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA