若者が農業を変える?

 


日本が農業大国と呼ばれていたのは、もう昔のことです。
1985年以降およそ30年間で、販売農家(年間販売額が50万円以上の農家)の戸数は、604万戸から133万戸へ減少しました。農業で働く人は1932万人から340万人へと、6分の1にまで減少したのです。
特に、農業者の高齢化が問題となっています。現在、60歳以上の高齢農家の比率は、約8割の77%を占めています。このままでは、「農業で働く人が居なくなるのでは?」と、心配されています。

 

「あなたも農業をしてみませんか?」
佐賀県の美しい棚田。

農業で働く人を募集するキャッチコピーが、最近はよく目に付くようになりました。
日本では若者の農業離れが進み、農業者の高齢化が深刻な問題となっています。
しかし、その一方で、国も若者の就農へ向けた助成や給付金を増やすことで、農業に目を向ける若者も少しずつですが増えてきています。
都会の若者が憧れとして農業の世界に飛び込み、そして、新しい農業のスタイルを作り出そうとしています。

 

まず、農業としての働き方は、大きく次の3つに分けられます。

1、「農家で働く」

これならば、農業初心者でも研修として取り組めます。農家は人手を欲していますので、ハードルはそれほど高くありません。
ただし、農家で働くにも2通りがあります。最近では、法人化する農家も増えており、正職員として通年で雇用され働くパターンと、繁忙期だけ季節雇用として働くパターンです。南国のように通年で作物が採れる地域もあれば、雪国のように1年の半分は農業が困難な地域もあるからです。

当然、通年雇用ならば生活は安定しますが、じつは季節雇用を選択する若者も少なくありません。
これは、「半農半X」と呼ばれる生活スタイルへの憧れがあります。
半農半Xとは、京都府綾部市に移住された塩見氏が、提唱するライフスタイルです。
午前中を自分が食べる分だけの自給農に費やし、午後は自分のやりたいことに費やして生計を立てる、新しいライフスタイルになります。

例えば、季節雇用であれば、1年の半分を農業に勤しみ、冬期間は自分の趣味を活かした時間を持つことができるのです。
インターネットを活用することで、山奥であっても場所を選ばずに仕事が可能です。

2、農業を経営する(就農)

この「就農」に憧れる若者が増加しています。
国は45歳未満を対象に「成年就農給付金」を「準備型」と「経営開始型」と、2段階で支給し、就農を目指す若者を支援しています。
この他にも、各自治体や農協又は日本政策金融公庫でも、独自の就農応援資金や助成を行っています。
特に、離農する農家と就農を目指す若者をマッチングする事業に、取り組む自治体等が増えています。

就農に対するサポートは手厚くなりましたが、それでも道は決して容易くありません。
農業技術の習得には時間が掛かります。新たに耕すことのできる土地を見つけるのは容易くありません。農機具の購入は高額です。その他にも、用水路の確認や人手の確保など、問題は山積みです。

 

3、農業関連で働く

例えば、学んだ農業技術は関連事業でも役立てることができます。
農協、農機具メーカーや種苗メーカー、ホームセンターなど、農業関連企業はたくさんあります。市役所等には農業に携わる所管があるように、公務員として農業に携わる働き方もあります。

そこで、若者が農業に携わることで、新しい農業が生まれ始めています。

例えば、農業の第4次産業化です。

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第4次産業とはICT(Information and Communication Technology、情報技術)などを活用した産業を指しますが、これを農業に取り組もうとする動きです。有名な言葉に「スマート農業」があります。
GPS機能を使った農機具の自動運転や、ドローンを使った高域な発育確認などです。こうした農業の第4次産業化は、若者だからこそ取り組めます。元々は、農業に対する重労働のイメージを払拭し、農業経験の浅い若者でも農業に従事できるように、ICTを活用するところから始まっています。

その他にも、新しい農業のスタイルとして、6次産業への取り組みがあります。
1次産業の農業に、2次産業の製造業と、3次産業の流通・小売業を掛け合わせ、1×2×3=6から6次産業とするものです。
農業経営者自らが農産物を加工し、流通に乗せて広域に販売することで、地域資源に新たな付加価値と収益源を生み出そうとするものです。こうした取り組みへの柔軟な発想は、若者だからこそ出来るのかもしれません。

 

このように、若者による新しい農業スタイルが生まれることで、農業に興味を持つ若者がさらに増えることを期待しています。

農業という職業で成功をするためには、本人の努力はもちろんのこと、経営手腕や逆境にめげない強い意志、地域社会の一員としてコミュニケーションがとれることが必要です。

また、新規就農を目指すのであれば、相当な金額の自己資金が必要になるでしょう。

 

田舎暮らしや自然に囲まれた生活への憧れだけでなく、強い覚悟を持って取り組むことが成功につながる農業といえます。

 


キャノングローバル戦略研究所 「農家数と農業従事者数の推移」
http://www.canon-igs.org/column/20161025_yamashita.pdf

農林水産省 「農業女子プロジェクト」について
http://www.maff.go.jp/j/keiei/nougyoujoshi/

塩見直紀(半農半X研究所)ブログ
https://plaza.rakuten.co.jp/simpleandmission/

kouji_nakanishi 登録者

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