映画『大統領の執事の涙』黒人執事が見た差別

ロサンゼルスでのプレミア試写会にて Kathy Hutchins / Shutterstock.com

『大統領の執事の涙』(Lee Daniels’ The Butler)は、リー・ダニエルズ監督、脚本ダニー・ストロング、その他のアンサンブルキャストによるアメリカの歴史ドラマ映画になり、2013年に公開されました。

実在したホワイトハウスの執事長ユージン・アレンに着想を得ました。アフリカ系アメリカ人の執事の視点から、自身が務めた34年の任期中に起こった事件を描写する作品です。

白人の主人に目の前で父親を殺された主人公のセシルは、奴隷の子供として育てられました。後に農園を脱出して盗みに入ったお店の黒人に助けられ、その店で働くことになります。

そこで教育されたことは、「相手の心を読む」、「お客の目を見て望みを知る」、「ボスが思わず微笑むように」、「常に白人用と自分用の顔を持て」でした。その後は出世をして、ワシントンD.C.の高級ホテルに勤務することになり、さらにはホワイトハウス付きの執事の仕事を打診されて就任することになります。

最初はアイゼンハワー大統領に仕えましたが、そこでは黒人に対して登校の妨害をしていたリトルロック高校に軍隊を派遣する様を見ることになります。歴代の大統領の執事を務める中で、黒人に対する差別の現実を知っていくことになるのです。

7人もの大統領を支えた黒人執事

黒人執事のセシルはアイゼンハワー大統領を始め、最終的に7人もの大統領を支えることになります。当時はキューバ危機ケネディ暗殺ベトナム戦争などアメリカの歴史的事件が起こり、揺れ動いていた時代でもあります。

そんな激動の時代の中で、セシルは7人の大統領の執事として仕えながら、歴史が動いていく瞬間を最前で見続けていくのです。忠実に働き続ける世界を前に黒人として、さらにはこれまで身につけた執事としての誇りを胸に抱きながら真実と戦っていきます。

上司を支える役回りに感動

多くの上司の支え役に徹したセシルでしたが、セシルの長男からすると「白人に仕える奴隷」である点に変わりありません。しかし、何かしらのことに仕えるというのは、ただ無条件に屈辱的な事柄を意味するのかというと、必ずしもそうとは限らないのです。

仕えるというのは、それなりに意味のあるものです。

それがたとえ神であっても国家であっても、ましてや正義や理念、創作であっても同じと言えます。そのことを教えてくれる作品でもあり、最終的にセシルは上司を支える役回りに徹し、多くの人達に感動を与えることになります。

喜びやそれに伴う苦悩など様々なことがありますが、それは他人事ではありません。公開された当時現職のオバマ大統領が流したと言われる涙にも、どこか繋りがあるのかもしれません。

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