離婚とお金にまつわる事情って?

文責:ファイナンシャルプランナー 仲西康至


キーワード:離婚

日本の統計を見ると3組に1組が離婚すると言われる。夫婦の性格の不一致、浮気といった理由の他に男女問わず配偶者によるDV・暴力・モラハラ、理由は様々。


近年、結婚20年以上の夫婦の離婚率が増加しているといわれています。残念なことですが、こうした離婚時には精神的なストレスだけでなく、お金の問題にも悩まされてします。

 

離婚するとお金を分ける必要がある

夫婦共有の財産を分けるのは簡単なことではありません。財産は名義に関係なく、預貯金、有価証券、不動産、自動車、家財道具、保険金、年金など様々あります。妻側のヘソクリも生活費の一部から捻出していると共有財産となります。子供名義の預貯金も共有財産です。ただし、結婚前からの財産は特有財産として除外されます。財産を分ける割合は夫婦でピッタリ半分と決められており、専業主婦でも同じです。

財産分割相談は一般的に本人同士で進められます。本人同士で進めるにしても、必ず離婚協議書を作成することが大切です。一般に、離婚協議書の作成は妻側が行います。離婚協議書はインターネットで雛形を探すことを出来ますが、作成のあと専門家(弁護士)に確認してもらうのが良いようです。
弁護士費用は相談料30分5,000円が相場です。作成した離婚協議書の確認だけならば、固定料金30,000円程度で請け負う弁護士もいます。弁護士費用の負担については、離婚協議書の作成時に明確であれば記載しても良いですが、妻側が負担するケースも多くなってしまいます。

その他の離婚時のお金事情として、慰謝料や養育費の取決めがあります。慰謝料は精神的苦痛に対する賠償として支払われますが、必ず受け取れるものではありません。浮気や暴力など配偶者に落ち度がある場合は請求も可能ですが、性格の不一致や価値観の相違など、どちらかが一方的に悪いのでなければ、慰謝料の請求は難しくなります。一般的には、慰謝料の上限は500万円程度といわれていますが、妻側に経済力があると、慰謝料も引き下げられる傾向にあります。最近では女性の社会進出が進み、キャリアウーマンという言葉も定着していますが、給料の高い妻側は離婚時少し損をすることになります。

その一方、子供の養育費に法律上の決まりはなく、「養育費算定表」を参考に話し合いで決めます。この「養育費算定表」は、子供の人数と年齢、年収が査定項目となり、月額2~4万円が全体の約4割を占めています。離婚は既に配偶者との心も離れているため、「早く終わらせたい」という気持ちが表に出がちです。そのために、財産分割や慰謝料・養育費の話はスムーズには進みにくくなってしまいます。万が一離婚の際に財産の分割をしていなくても、離婚の成立から2年以内であれば離婚後の請求が可能です。慰謝料の請求をせずに離婚が成立した場合も、離婚の成立から3年以内であれば請求できる可能性があります。同じく、養育費についても離婚後に請求することで認められることがあります。

離婚後は、子供の扶養を母親が見るケースが特に多くなります。子供がまだ幼い頃の離婚は、それほど養育にお金も掛からず、また母親も年齢的に若いことで養育費について楽観的に考えてしまいがちですが、子供の成長とともに重くなる教育費に気付かされ、後悔をするケースがあります。このような場合、離婚後であっても養育費の請求が認められる可能性はありますが、過去に遡って請求が認められるのかは、両親双方の財力や現在の生活の状況が考慮した上で裁判所が判断をします。

 

養育費を払わない人もいる

離婚時にきちんと協議をし、約束をしていたにもかかわらず、元の配偶者からの養育費の支払いが滞る事例が最近増加しています。「金の切れ目は縁の切れ目」ということわざがありますが、養育費の未払いを縁の切れた配偶者に直接請求はしづらいものです。しかし、未払いの金額が大きく膨れ上がるまで放置をするのではなく、内容証明郵便を送付し請求を促す事が重要です。それでも支払われないのであれば、離婚問題に詳しい弁護士などの専門家に相談をすることが望ましくなります。子供のためだと考えての早い行動が大切なのです。

離婚後の養育費未払い対策としては、必ず離婚協議書を作成し、養育費の支払いを記載しておくことです。これをすることで、万が一の時に対抗できる手段として、訴訟で未払い分の養育費の請求が可能となるからです。ただし、離婚協議書を作成し、養育費の支払いが滞っているにもかかわらず、未払いの請求を行わないで放置しておくと、5年または10年の時効が認められることもありますので注意が必要です。

 

離婚時にはさまざまなお金事情があり、ストレスの要因にもなります。夫婦仲良く暮らすことが一番の幸せかもしれませんが、万が一の離婚の際のトラブルを避けるためには、対処法を知っておくと家族の大きな支えになるかもしれないですね。


参考:

裁判所の作成した「養育費算定表」 http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/

「離婚弁護士相談広場」

kouji_nakanishi 登録者

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