3月だから、女性監督の映画を観よう!


3月8日の国際女性デーにちなみ、3月は女性の活躍を称える月として世界的に考えられています。女性の活躍の称え方は様々ありますが、その中の一つとして、女性が監督した映画作品を鑑賞して観るのはどうでしょうか?

実は1年間にハリウッドで制作された全映画作品のうち、たった10%前後しか女性映画監督による作品は作られていないのです。そして人気のあるハリウッド映画約700本のうち女性映画監督はわずか2%というデータもあるほどです。

(参考:“Inequality in 700 Popular Films: Examining Portrayals of Gender, Race, & LGBT Status from 2007 to 2014” )

日本が世界に誇るアニメ映画スタジオであるスタジオジブリも、男性の監督しかいないことが昨年は世界的に話題になりました。それだけ、女性が監督を務める映画作品は少ないのです。そこで、今回は女性が監督した作品を、わずかではありますが紹介します。


『アナと雪の女王』(原題:Frozen)日本公開:2014年 
監督:クリス・パック、ジェニファー・リー

あらすじ:アレンデール王国の王女であるアナは城の外に出ることが出来ず、城内にも話し相手がいないため、外の世界に出て人と触れ合うことを夢見ていた。姉であるエルサはついに女王の座を戴冠することになったが、幼い頃から隠してきたものを凍らせてしまう魔力を制御できず、この力が周囲の人々にバレてしまうことを恐れていた。そして戴冠式の日、ついに力を制御できなくなり王国を冬にしてしまったエルサは、城を飛び出し雪山に隠れてしまう。姉を救うため、そして冬を終わらせるためにアナはエルサを探す冒険に出て行く。

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世界中の誰もが知る映画会社であるディズニー。少し意外ですが、この作品はそのディズニーの長編アニメーションのなかで唯一、女性が監督として参加している作品なんです。そして世界中で一大旋風を巻き起こした本作の主題歌「Let it Go ありのままで」は、実力派のロバート・ロペスとクリスティン・アンダーソン=ロペス夫妻の手がけるものです。作詞を主に担当したのはクリスティンで、「自分の子供にこう育って欲しい」という母の娘への想いが込められています。作曲を主に担当したロバートは、エルサ役のイディナ・メンゼルの声域や歌唱力を考えてこの曲を作り上げたと語っています。そして主人公のアナを演じるのは、クリステン・ベル。本作でのアナコミカルなキャラクターや決めぜりふは、彼女のアドリブがかなり活かされているそうです。この作品はまさに、監督、音楽、出演者と多くの女性達の力が集まったことでできあがった人気作です。

 

『ワンダー・ウーマン』(原題:Wonder Woman) 日本公開:2017年
監督:パティ・ジェンキンス

あらすじ:女性だけが暮らす孤島セミッシラで育ったアマゾン族の女王ダイアナは、幼い頃から過酷な訓練を積み、美しくも強い戦士となった。ある日、ダイアナはおぼれかけていた男性兵士、スティーブを救出する。スティーブは自身がスパイであることを明かすと、外の世界では第一次世界大戦が勃発しており、ドクター・ポイズンの開発した毒ガスによって多くの人が死に、世界は破滅するだろう、力を貸して欲しい、と頼む。戦いの神・アレスの仕業に違いないと考えたアラベラは、戦争を早期終結させるべく、スティーブと共に外の世界に飛び出していく。

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アメコミ原作映画史上初めて女性が監督した本作は、歴代の女性監督作品の初週および累計興行収入1位を記録しています。また、女性が主役のアクション映画としても、1位の興行収入を得ている作品です。一般的に、アクション映画は女性よりも男性に人気の傾向があったため、女性を主人公とした作品はあまりヒットしないだろう、と思われていました。そのため、女性にフォーカスしたスーパーヒーロー映画はあまり作られてきませんでした。しかし、この作品がヒットしたことで、女性も男性と同じようにスーパーヒーローもののアクションを楽しむことが出来るのだ、と多くの映画関係者が考えるようになったそうです。ハリウッド映画史においても、とても重要な作品となりました。

主演のガル・ガドットはイスラエル出身で、兵役経験があり、その経験を活かして様々なアクションシーンに挑戦し、話題となりました。この役をきっかけに彼女は多くの場面において女性差別問題に関する質問を多く受けているのですが、それらに非常に上手で力強いコメントを毎回返しているのも、印象的です。

 

『ビガイルド 欲望のめざめ』(原題:The Beguiled)日本公開:2018年
監督:ソフィア・コッポラ

あらすじ:南北戦争中のアメリカ南部のバージニア州にて、ある日、キノコ狩りをしていたメアリーは、負傷した北軍の兵士ジョン・マクバニーを発見する。メアリーは兵士を自身の暮らしている女子学校に連れて帰る。戸惑いつつも、学園の教師と生徒達は兵士に看護を施す。女の園に突然男性がやって来たことで、生徒や教師たちは彼に過度な興味を示し、互いに互いを出し抜こうと躍起になる。一方の蒔くバニーもすべての女性に気に入られようと、色目を使う。マクバニーの怪我の回復と比例するように女性達の争いも過熱していくが……。

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女性キャラクターをメインとした作品を監督し続けるソフィア・コッポラ。現在、世界で最も有名な女性監督の一人であることは間違いありません。本作は1971年にクリント・イーストウッド主演で映画化された小説のリメイクですが、前作とは異なり、女性目線で描かれていることが注目ポイントの一つです。女性だけが暮らす人里離れた森の中の学園という、窒息しそうなほどに理性を抑圧された状況を、見事な監督で表現しています。映画自体は長くはないのですが、あれ以上長ければ見ている方も窒息してしまうのではないか、と思ってしまうほどです。カンヌ国際映画祭でも上映され非常に高い評価を受けた本作は、芸術性の高い作品で内容的にも少し大人向けに感じるかもしれません。ストーリー自体はあまり複雑ではないので、まずは映画の雰囲気や空気感を味わってみてはいかがでしょうか。

 

『未来を花束にして』(原題:Suffragette) 日本公開:2017年
監督:サラ・ガヴロン

あらすじ:まだ女性に参政権が与えられていなかった1912年のロンドン。モード・ワッツは夫と息子の3人家族。昼間は劣悪な環境で低賃金・長時間労働の洗濯工場で働いていた。街中では女性参政権を求める婦人社会政治連合(WSPU)の行動が過激化していたが、モードは彼女たちの活動にあまり情熱を持っていなかった。しかし、同じ工場で働く活動家のイーディスと出会い、彼女の代わりに議会の公聴会で自身の体験を語ったことをきっかけにモードは少しずつ、女性参政権を求める運動に身を投じていき、積極的に運動に関わっていくようになる。そんな彼女への世間の反応は、冷たいものだった。

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原題にあるサフラジェットとは、女性の参政権を求めて運動していた女性団体の人々を指す言葉で、特に窓に石を投げるなど過激な活動をしていた人々のことを指すことが多いです。そのなかでも最も有名なのがエメリン・パンクハーストで、彼女はこの運動におけるカリスマ的存在でした。本作では、現在のハリウッド女優界を牽引するメリル・ストリープが彼女を演じています。この映画は、そんなサフラジェットを正面から扱った世界で初めての映画だと言われています。彼女たちの存在を知らない人は現在、世界中に多くおり、エメリン・パンクハーストの子孫の方々が世界中でこの運動を広める活動を行なっていて、この映画の制作にも協力しています。また、映画の中で中心的な人物であるイーディスという女性を演じたのは、ヘレナ・ボナム=カーター。彼女は、女性参政権運動を弾圧していた当時の首相ハーバート・ヘンリー・アスキス伯爵のひ孫にあたります。監督にとって、彼女がこの役を演じてくれたことは驚きだったそうですが、ボナム=カーター自身は、曾祖父の行動を誤りと認めた上で、この作品に非常に強い思い入れを持って撮影に臨んだそうです。ここまで読むと難しそうなストーリーのように感じるかもしれませんが、主人公であるモードの視点からゆっくりと作品世界に入ることが出来るため、内容は難しくありません。あまりにも世界に入り込みすぎてしまい、息や瞬きをするのを忘れてしまうかもしれませんよ。

 

『少女』 公開:2016年 
監督:三島有紀子

あらすじ:高校生の由紀と敦子は、互いを支え合う仲良しの親友。剣道が得意だったが、高校の団体戦の試合中のけがで、チームに勝利をもたらせなかったことをきっかけにいじめに遭い、常に周囲の目を気にするようになった。一方、由紀は周囲には媚びないタイプで、読書が好きで、授業中に小説を書いている。それが原因で、自称作家である担任との間にわだかまりを抱えている。また、両親と共に祖母を介護している。ある日、二人のクラスに紫織が転入してくる。親友の死を目撃したと自慢げに話す紫織に、二人も人が死ぬ瞬間の顔を実際に見てみたいと思うようになり、夏休み、二人はそれぞれの方法で死を目撃しようと行動する。

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監督、脚本、原作、主演のすべてが女性という、まさに女性の力が結集されて作られた日本映画です。原作はイヤミスの女王※と呼ばれる湊かなえによるもので、イヤミスでありながらも最後の伏線の回収が鮮やかで、どこかスッキリとする部分を持ち合わせていますが、映画ではそれ以上に主人公二人の友情がメインとなっています。女子校という特殊な空間における閉塞感であったり、女性同士の特有な友情、若者の誤った好奇心、といったものを鮮やかにカメラに収めています。ただ見ているだけで、空気が肌にまとわりつくように感じるのではないでしょうか。この女性独特の空気感が苦手だ、といって見るのを止めてしまった男性も多くいたように思われます。女性にしか作り出せないこの空気感を、是非実際に感じてみていただきたいです。

※イヤミス 読んだ後にイヤな気分になるミステリー作品の総称。

 


ここまで、5本の女性監督映画作品を紹介してきました。これ以外にも、女性が監督した映画作品は世界中にたくさん存在します。女性の活躍をたたえる月であるこの3月の終わりを、女性監督作品を鑑賞することで締めくくってみてはいかがでしょうか。

 

黒木りりあ 登録者

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