企業が取り組むポジティブ・アクションって?

文責:ファイナンシャルプランナー 矢野灯


キーワード:ポジティブアクション
男女の間に生じている差を解消するために、女性のために企業が行う自主的かつ積極的な取組み。


会社で働いていく中で、男性だから、女性だからといって働き方や給料などについて差別をしてはいけないということを決めているのが「男女雇用機会均等法(だんじょこようきかいきんとうほう)」という法律です。ですが、この法律の中には例外もあります。

その例外が「ポジティブ・アクション」というものです。「ポジティブ」という言葉から前向きなイメージが沸きますが、その名前のとおり、女性の活躍のための前向きな取り組みがポジティブ・アクションです。どんなものかと言うと、性別による差別は男女雇用機会均等法で禁止されていますが、「すでに男女で差がついていることを解消するために女性だけを優遇すること」は許される、というものです。

具体的には、会社の一般職・総合職(一般的に、総合職は営業や企画などの仕事をする人、一般職は総合職をサポートする仕事をする人、というように分けられていることが多いです)などといった区分や、課長や部長などの役職の中で、女性の割合が4割以下のところに、優先して女性を採用したり、昇進させたりしてもよいとされています。

 

企業はどんな対策ができる?

たとえば、その会社内に課長が10人いたとします。その中で女性が2人だけしかいない場合、社内での女性の割合は2割だけということになります。この女性の割合を増やすために、女性だけを対象にして新しく課長として働いてもらう社員を募集したり、社内の女性を優先して課長にしたりすることができるのです。こうして女性の割合が少ないところに女性を増やして、男女の割合のバランスをとることを目指していこうというのがポジティブ・アクションです。

具体的な取り組みの内容は、女性社員を増やすために女子大学で就活のセミナーを開いたり、面接官に女性社員を置いたりすることや、女性向けに管理職を目指すための研修を開催することなど、会社によって様々です。

今の日本では、働く女性はどんどん増え、労働力人口(15歳以上の働いている人、働こうとしている人の人口)の約4割が女性ですが、管理職では女性の割合はたったの11.1%です。これは世界128カ国中96位と、他の国と比較してもかなり低くなっています。女性管理職の割合が1位の国はジャマイカで59.3%です。また、先進国の中だと、上位の国はアメリカが15位で42.7%、ニュージーランドが21位で40%で、管理職のうち半数近くが女性です。

ポジティブ・アクションでに取り組んでいる会社は今のところまだまだ多くはないですが、少しずつでも女性が活躍できる社会になることが望まれています。

男女雇用機会均等法ってなんだろう?


ポジティブ・アクション情報ポータルサイト(厚生労働省)
http://positiveaction.mhlw.go.jp/

ILO(国際労働機関)2015年「Women in Business and Management: Gaining momentum」

http://www.ilo.org/global/publications/books/forthcoming-publications/WCMS_316450/lang–en/index.htm

akari_yano 登録者

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