漫画村と著作権


キーワード: 漫画村騒動

「漫画などが無料で読み放題」とうたった海賊版サイト「漫画村」が、4月17日の午後に管理人自らサイトを閉鎖したようだというニュースが流れました。

今年に入ってから衆議院の予算委員会やNHKの報道番組でもも取り上げられ、日本漫画家協会や有名な漫画家がコメントを発表したりと話題に上り、ネット上では多くの人々が海賊版サイトについての意見を戦わせていました。先月13日には、漫画村と他2つの海賊版サイトを政府が名指しし、「緊急的措置として」ネット接続業者にアクセス遮断(ブロッキング)を呼び掛けたことで更に議論は白熱しています。


海賊版サイトとは?

「漫画村」は2016に立ち上げられたサイトで、漫画や雑誌のほかにも小説や写真集などが著作者に無断でアップされ、誰でも閲覧できる状態にされていたサイト、いわゆる「海賊版サイト」です。

インターネットが普及する前から漫画や音楽や映像の分野で「海賊版」というものは出回っていました。正規の商品より安い値段であったり、手に入りにくい作品集をコピーして売る、などが手口です。品物とお金が目に見える形で動いていた「昔の海賊版」とは異なり、ネット上の海賊版では利用者が無料で利用できるサイトも多く、サイト側は広告料などで収入を得ています。

サイトやブログのアクセス数を増やすことによって広告収入を得るという方法自体は違法ではありません。しかしアクセス数を増やすための内容(コンテンツ)が、元々の作者や出版社の許可を得ずにアップされていることが問題です。本来ならばそのコンテンツを発表することで利益を得るのは作者や出版社の権利であるはずです。この権利を「著作権」といいます。

著作権とは?

「著作権」という言葉は聞いたことがある人は多いでしょう。「著作権法」という法律によって守られています。著作者が著作物の使用者から使用料を得る権利(著作権)と、著作物を通じて表現された著作者の人格を守るための権利(著作者人格権)の2つの権利を合わせて「著作権」と呼びます。著作権法は文化の発展を目的として著作者の創作の努力に報いるために定められた法律で、著作者は自分の著作物によって報酬を手にすることができ、それをもとに新しい創作に励むことができます。

もっとも著作権は永久に保護されているわけではありません。日本では現在「著作物」は「映画」と「それ以外」に分類され、それぞれ原則として作者の死後、もしくは作品の公表後50年と70年後までが著作権の保護期間と定められています。

「映画」とはいわゆる映画のことだけではなくTVドラマやCM、ミュージックビデオ、動画サイトに投稿された動画なども含まれます。

この年数は国によって異なりますが、だいたいは50年から70年が多く、それが妥当であるのかどうかの議論は各地で繰り広げられています。

著作権法で保護された作品を私達が楽しむために対価を支払うことは、その著作者を応援したり、そのコンテンツの発展を助けることにもつながります。

著作者の権利を無視して、本来ならば著作者に渡るべき報酬を不当に取り上げるのが「海賊版」です。2002年に海賊版対策のために経済産業省と文化庁の支援を受けて設立された法人「コンテンツ海外流通機構(CODA)」の発表によると漫画村の利用者はこの半年で、のべ6億人を超え、被害金額は約3200億円にものぼるとのことです。

政府の介入は正しかった?

漫画は今や言う間でもなく、世界に誇る日本の文化の一つで、国内だけでなく、海外向けビジネスとしても大きな市場に成長しました。漫画の売り上げに悪影響を及ぼす海賊版サイトに日本の政府が強硬な姿勢で対応することは当然のように思われます。

しかし政府が行った「特定のサイトを名指しした上でのプロバイダーへのブロッキング推奨」という対応については、非難や懸念も巻き起こっています。なぜでしょうか?

それはネット上での著作権侵害に関する法律の整備がまだ充分進んでいない現在の日本で、今回の政府の対応が「立法」というとても大切な手順を飛ばして行われてしまったからです。著作権を守るための緊急的な特別な措置としてはやむを得なくとも、これは憲法の定める「表現の自由」を侵しているのではないかという心配を抱く人々が声をあげたのです。

実際に第二次世界大戦中、様々な分野の作品が政府の検閲によって出版を差し止められたり、作者や公表した人が厳しく罰せられた事実があります。実際に被害を被り、海賊版を非難していた漫画家達でさえも、この「表現の自由」を脅かされることについては注意が必要だと心配しています。

高度情報化社会を楽しむために

私達の生活に、もはやなくてはならないIT技術は、驚くほどのスピードで進歩しています。良くも悪くも今までは考えられなかった方法で大勢の人々が情報を共有できるようになりました。

今回の漫画村の一連の騒動はそんな高度情報化社会の問題点を浮き彫りにしました。違法に他人の努力の成果を横取りするような海賊版サイトには何らかの規制や罰則が必要ですが、「立法」「行政」「司法」などの社会の枠組みも、出版社や、漫画家などの「著作者」も、これに伴って変化を求められているのかも知れません。

このような社会で私達にできることは、自分が見ているコンテンツは正規のルールで公開されているものなのか、本当に対価を支払うべき相手は誰なのか、しっかりと見極めることです。より良い新しい文化とそれを支えるビジネスを生むためのカギとなるのは、ネットを通じてコンテンツを楽しむ私達一人一人の行動なのです。


みんなのための著作権教室 http://kids.cric.or.jp/intro/01.html

CODA 一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構 http://www.coda-cj.jp/organization/aisatsu.html

首相官邸 政策会議 知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/180413/gijisidai.html

HUFF POST「漫画村」運営側が自ら閉鎖か サーバーに接続できず

https://m.huffingtonpost.jp/2018/04/17/mangamura-server_a_23413077/?utm_hp_ref=jp-homepage

ayako_takahashi 登録者

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA