カンヌ国際映画祭で女性の権利について考える


キーワード:カンヌ国際映画祭 フランス南部の都市カンヌで開催される、世界で最も有名な国際映画祭の一つ


 

2018年5月8日から19日にかけて、フランスのカンヌで第71回カンヌ国際映画祭が開催されました。

中でも最高賞と言われるパルム・ドールに日本人監督である是枝裕和さんが選ばれたことでも話題になりましたね。今回のカンヌ国際映画祭で世界的に話題になったのは、女性の権利について考えよう、という取り組みがなされたことです。その中でも印象に残った3つの出来事について触れていきます。

 

審査員の過半数が女性に

カンヌ国際映画祭で最も注目されるのがコンペティション部門と呼ばれる部門で、審査員長を含めた9名によって審査が行なわれます。審査員長を除いた8名の審査員の男女比はが4:4の状況が何年も続いており、今年も同様に女性4名、男性4名が審査員に選ばれました。しかし、今年は審査員長に女優のケイト・ブランシェットが就任したことにより、審査員長を含めた9名のうち5名が女性になったことで、審査員の過半数が女性になった!と世界で話題になりました。

ちなみに、カンヌ国際映画祭の審査員で女性が過半数になった例は過去にも存在します。直近で女性が過半数となったのは、2014年に開催された第67回カンヌ国際映画祭。この年は審査員長を女性監督ジェーン・カンピオンが務めました。彼女は1993年に自身の監督した『ピアノ・レッスン』という作品で女性監督としてはじめて、同映画祭にてパルム・ドールを受賞しています。

 

82人の女性がレッドカーペットに

今年のカンヌ国際映画祭を象徴する写真として多くの人が目にしたのは、レッドカーペットの敷かれた階段に多くの女性が並び立つものだったのではないでしょうか。

 

Featureflash Photo Agency / Shutterstock.com

審査員長であるケイト・ブランシェットを中心に集まった女性は総勢82人。みな、映画に関係する仕事をしている女性です。この「82」という数字がキーワード。ブランシェットの説明によると、この数字は1942年にカンヌ国際映画祭が開かれてから今までの間にこの階段を上った女性監督の数を表わしているとのこと。同様にこの階段を上った男性監督の数が1688人いた事を考えると、この82という数字は非常に少ないことがよく分かります。更に、最高賞であるパルム・ドールを受賞した男性監督は71人いるのに対し、女性監督はたったの2人

「世界の人口を見渡せば、女性の数が極端に少ないわけではないにもかかわらず、特に映画業界においては女性はマイノリティーだ」とスピーチしたブランシェットは、「映画業界という名の階段はすべての人に開かれているべきだ」と述べたあとに「さあ、登りましょう(Let’s climb.)」と呼びかけ、81人の女性達と共に階段を颯爽と上っていきました。

 

プレゼンターが自身のレイプ被害に言及

今回のカンヌ国際映画祭で最も話題となったスピーチは、女優で監督のアーシア・アルジェントのものでした。授賞式のプレゼンターとして登場した彼女は、

Denis Makarenko / Shutterstock.com

「1997年、私はハーヴェイ・ワインスタイン*にカンヌでレイプされました。私は21歳でした」

(In 1997, I was raped by Harvey Weinstein at Cannes. I was 21 years old)

と語りはじめ、多くの人々に衝撃を与えました。アルジェントはスピーチの中で、カンヌ国際映画祭という映画人にとって名誉あるイベントがワインスタインにとっては狩りの場であったこと、彼は2度とこの場に歓迎されることはないだろうと明言しました。さらに、今年のカンヌ国際映画祭に参加している映画人の中にも、女性に不適切な行為を行なった者がいると述べ、そのような行為は映画界だけでなく一般の職場で会っても許されないものであり、行為に及んだ人も許されることはない、と力強く宣言しました。スピーチ全文はアーシア・アルジェントのツイッターにて英語で掲載されているので、気になる方は是非覗いてみてください。

*ハーヴェイ・ワインスタイン:ハリウッドの元有名映画プロデューサー。昨年、20年以上にわたって多数の女優などにセクハラや性的行為の強要などといった性的暴行を行なっていることが告発され、そのニュースは瞬く間に世界中に広がった。

 

映画業界の話、と考えてしまえば自分とは関係ない世界の話だ、と感じてしまうかもしれませんが、監督を社会の偉い人に置き換えて考えてみたら、どうでしょう? 校長先生、経営者、政治家など、強い権力を持った女性はあなたの周りにどれだけいますか?

映画業界の女性達の上げた声は、確実に世界に変化をもたらしています。これをきっかけに、じっくりと女性の置かれている環境について、考えてみてはいかがでしょうか。

 


参考:

Festival de Cannes 2018 “Juries“(審査員紹介)

The Independent “Cannes 2018: Watch Cate Blanchett’s impassioned speech for gender equality“ (ケイト・ブランシェットのスピーチ動画など)

Buzz Feed News「「21歳だった私は、ここカンヌでレイプされた」女優が授賞式で映画界に訴えたこと

アーシア・アルジェント (@AsiaArgento) – Twitter

 

黒木りりあ 登録者

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