地方創生とは:2014年9月3日の第2次安倍改造内閣発足の際に総理大臣記者会見で発表されたものです。東京への人口の一極集中を改善し、地方の人口減少に歯止めをかけようとする政策です。
総務省が発表する2016年人口移動報告によると、全国都道府県のなかで人口が増加したのは、東京都と首都圏の3県、及び大阪府・愛知県・福岡県の合計7県。その他の40道府県は人口が減少しています。
地方から首都圏への人口の流れは、最近始まったものではありません。
これまでには、3回の大きなピークがあり、1回目が1970年前後の高度成長期、2回目が1985年後半のバブル期、そして3回目が2010年以降から現在に至ります。
1回目と2回目のピーク時は、経済成長が進み、世の中が好景気に包まれていた時代。「都会に行けば裕福になれる」といった思いが、地方から首都圏へ人の流れを作りました。それに対して、3回目のピークになる現在は、地方の経済が疲弊し、「やむを得ず都会へ」の思いが、強いといわれています。
人口の流出をくい止める
国や地方の自治体等において、首都圏から地方へ逆の流れを作るための施策が打ち出されることで、「地方で働いて、地方の町を元気にしたい」と、地方就職「LO活(Local+就活)」を希望する学生が増え始めています。
このように、学生が地方就職を志す理由については、地域の過疎化に力になりたいと考える以外にも、「地域の企業に魅力を感じた」や、「知らない土地又は好きな土地に働きたい」などの考えもあります。
その他にも、「ストレスを感じないで暮らしたい」、「通勤ラッシュが嫌い」、「転勤がなく働きたい」など、地方就職への思いはさまざまです。
地方のまちを元気にする人材について、「若者」「よそ者」「変わり者」「愛嬌者」の4つの輪で表現されることがあります。
若い人の将来性豊かな発想、よそ者の地域に無い新鮮な発想、変わり者の独創的な発想、そして愛嬌者による地域の人とのコミュニケーションから作りだす発想。これらが、地方創生では求められています。
地方就職ならではの苦労
首都圏に所在する企業と違い、地方の企業の求人情報を収集するのは容易でありません。企業自身のウエブサイトに求人情報を掲載したとしても、検索され閲覧できる確率は低くなってしまうのです。また、地方企業が合同で開催する説明会に出向く方法もありますが、特定された企業の情報しか得られないのが現状です。
その他にも、面接などを目的とし現地に赴くには、交通費及び宿泊費といった金銭面の負担が嵩み(かさみ)ます。
さらに、数日で1社の面接しか受けられない等、余計な移動時間やスケジュール調整の難しさがあります。
こうした地方就職に対するハードルに対し、独自の給付金制度を設定するなど、地方就職の促進に力を入れる自治体が増え始めています。
地方就職に地方の自治体が注力する一方で、学生が地方就職を実行するには、事前の準備も大切です。
ひとつは、家族に応援をしてもらえるように理解を得ること。地方就職を希望する動機を明確にする必要があるでしょう。地方就職を志す理由はさまざまですが、「なぜ、地方で働きたいのか」を自問自答しておくことが大切です。
その上で、就活に必要なお金の準備、スケジュールの調整など、計画性を持って行動する必要があります。
近年では、インターンシップをきっかけとし、地方就職を実施する学生が増えていることからも、学生と地方との交流が始まっています。
いきなり地方就職を実行するのに抵抗があるかもしれません。学生が地方企業の魅力に気づく機会をつくり、地方就職への関心を高めることが大切となります。
一方で、地方では地域の活性化を志す若者の主体性を奨励し、若者のクリエイティブな発想が生まれる環境を整えてあげることが必要です。
参考URL
内閣官房・内閣府総合サイト 「みんなで育てる地域のチカラ 地方創生」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/
地方創生動画サイト 「こっちは元気だ。東京はどうだ。」
https://www.gov-online.go.jp/cam/dokoiki/
リクナビ就活情報ガイド【先輩に聞く】遠距離就活に挑戦した理由や方法
https://job.rikunabi.com/contents/howto/518/