2023年に世界で最も話題となった人物の一人が、アメリカのシンガーソングライターであるテイラー・スウィフトです。
昨年から始まったコンサート・ツアー『The Eras Tour』は音楽史史上最大規模といわれています。このツアーは今年、来日公演も行われました。さらに、テイラーは『The Eras Tour』を筆頭にアルバム、映画と様々な分野で影響力を見せました。
その上、今年行われるアメリカの大統領選挙にも彼女の言動が影響を与えると考えられています。
そんな世界中が注目する歌姫の数年間を追ったドキュメンタリー映画があります。それが、2020年に配信開始となった『ミス・アメリカーナ』です。
「良い子」が沈黙を破る時
2018年、テイラー・スウィフトは『レピュテーションスタジアムツアー』を終えつつ、新作アルバム『ラヴァー』の制作に取り組んでいます。
子供のころから「良い子」であろうと頑張ってきたテイラー。子供のころからミュージシャンになろうと、努力を重ねてきたテイラー。成長しても、人気歌手になっても、彼女のその姿勢は変わりませんでした。
しかしながら、様々な出来事が彼女の心に大きな傷を作ります。受賞スピーチを妨害されたり、世界中からバッシングを浴びたり。セクハラを受けたと訴えても、非難されたり人格を否定されたり。それでも、彼女は「良い子」でいるためにずっと口をつぐんでいました。
そんな彼女の変化のきっかけとなったのが、2018年のアメリカ中間選挙です。テイラーの故郷でブラックバーンという女性が上院議員候補として中間選挙に出馬しました。彼女は、DVやストーカーなどの暴力を規制する法案や、同性婚に反対していました。「女性や弱者を守る法律に反対する人に投票できない」。これまで「良い子」でいるため、沈黙してきたテイラーがついに沈黙を破りました。
スターだって人間
映画の中で、テイラーはこれまで発信してこなかった様々なネガティブな事柄を語っています。
例えば、食事の量や食べ方に異常が生じる、摂食障害で苦しんだ過去を告白しています。パパラッチに撮影された写真を見て、太っているように見えないか。そんなことばかりを気にして、食事よりも運動を優先する生活を送っていました。そしてフラフラになりながらコンサートなどでのパフォーマンスをこなしていたそうです。
その後、テイラーはこの障害を克服しました。周囲から太っている、と言われても気にせず、きちんと食事を取っているといいます。一方で、彼女は運動にも力を入れ続けています。現在ではライブで必ず鍛え上げられた上腕二頭筋にキスをする演出を取り入れています。
自分を信じることの大切さ
「良い子」でいることとは何なのか。どうやったら人に好かれるのか。これらは、誰もが直面する問題です。
世界的大スターのテイラー・スウィフトでさえも、同じ悩みを抱えています。それでも、自分で正しいと思える道を歩み続けることは、とても大切なことです。それは、非常につらい道かもしれません。しかし、いつか報われる日が来ると信じて歩み続けるしかありません。
迷った時、くじけそうになった時には、『ミス・アメリカーナ』に映るテイラーと現在のテイラーの姿を思い出してみてください。
参考ページ
テイラー・スウィフト『ミス・アメリカーナ』レビュー:表情を殺していた女性の成長と行動する勇気の記録 (udiscovermusic.jp)
テイラー・スウィフトが「いい子(good girl)」をやめるまで。Netflix『ミス・アメリカーナ』が必見の理由 | ハフポスト アートとカルチャー (huffingtonpost.jp)