映画『ストーリー・オブ・マイライフわたしの若草物語』 彼女たちの人生の選択

1868年に発表されたルイーザ・メイ・オルコットによる小説『若草物語』は、長年にわたって世界中に愛されてきました。

本作は非常に人気で、何度も映像化されています。そして2019年、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のタイトルで、新たな『若草物語』の映画が作られました。

ヒロインが語る「わたしたちの」物語

作家志望の教師ジョー・マーチは四人姉妹の次女です。彼女は編集者の元に自身の作品を持ち込んでいます。ジョーの姉、長女のメグは、貧しくも専業主婦として、夫と共に双子を育てています。三女のベスは、実家の隣の屋敷に通って主のためにピアノを弾いています。四女のエイミーは伯母とパリに住み、美術に励んでいます。彼女はパリで幼馴染のローリーと再会しました。

ジョー達がローリーと出会ったのは、7年前でした。ジョーとローリーはすぐに意気投合し、親友となりました。ローリーはジョーに恋愛感情を抱いていました。けれども、彼女は彼に対して友情しか抱いていません。そして、密かにエイミーがローリーに想いを寄せていました。

現在、ジョーは作家として成功しようと奔走しますが、決して平坦な道ではありません。ローリーは失恋の傷を酒で埋めようとします。エイミーはそんな彼を非難しますが、反対に「ただ玉の輿に乗ろうとしているだけだ」と揶揄されてしまいます。メグは裕福だった頃の記憶が忘れられず、貧しさを嘆きます。そして、ベスの抱えている病が悪化してしまいます。その報せを受けたジョーは、妹を見舞うべく列車に飛び乗ります。

個性豊かな四人姉妹それぞれの物語が、時に重なりながら進んでいきます。

それぞれの女性が選ぶ生き方

Photo by Melissa Askew on Unsplash

本作では、共に育った仲の良い四人姉妹が、それぞれ全く異なった価値観を持ち、人生の選択をしていきます。

本作の舞台は、女性の人生における選択肢の幅が現在よりも狭い時代です。現代でもある「女性だから」早くに結婚して専業主婦にならないといけない、という考え方。「女性だから」という理由で人生の選択肢を定めてしまうのは、男女平等とは言えません。

ジョーはこの考え方に反発し、自分の信念を貫きます。そのせいで彼女は孤独を感じることもありますが、それでも懸命に日々を歩みます。

反対に、メグは「好きな人と結婚して家庭に入りたい」と考えています。彼女は「女性だから」ではなく、「自分がそうしたい」からこう考えています。ジョーは納得しませんが、メグのように自分の意思で好んでそう考えるのは自由で、否定されるべき悪いことではありません

ベスはこのような性別に基づく考え方に反発するわけでも同調するわけでもなく、そこから離れたところで生活しているように見えます。それもまた、彼女の意思に基づいた自由です。

一方で、エイミーは性別に基づく考え方を、女性の置かれる経済的立場などと共に冷静かつ客観的に捉えています。彼女のような考え方を打算的、と捉える人もいるかもしれませんが、これもまた彼女の自由であり、他人に非難されるべきことではありません。

このように、本作では異なる価値観で人生を歩む四人の女性たちの成長が描かれています。自分は誰の考え方に近いか、と考えながら鑑賞してみるのも良いのではないでしょうか。

参考ページ

グレタ・ガーウィグの想いが結実した『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』に込められた女性の生き方と強さ|【映画の空】映画観るならスカパー! (skyperfectv.co.jp)

エマ・ワトソンら豪華キャストが語る「若草物語」が今も愛される理由 – SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)

黒木りりあ 登録者

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA