キーワード:Circus(サーカス)
諸説あるが、語源はラテン語の競技場を意味するcircusという説があります。もう一つの説は14世紀後半の古代ローマで、競技などに使われた大きな屋根のない施設に由来するとされます。その後1800年代頃に現在の形に近いエンターテイメントを指すようになったと言われています。
2月16日に公開されたヒュー・ジャックマンの主演映画『グレイテスト・ショーマン』。ヒュー・ジャックマンが演じる主人公P.T.バーナムは伝説の興行師をモデルに描いたそうです。P.T.バーナムはどのような人でどんな功績を残したのでしょうか。
『グレイテストーショーマン』P.T. バーナム
フィニアス・テイラー・バーナム(Phineas Taylor Barnum)は1810年アメリカコネチカット州で生まれ、興行師として成功しました。子供のうちから商才*があったバーナムは、ニューヨークに移り住み初めは様々な商売に手を出し、映画にも出てきたとおり、1841年から1868年まで『バーナム・アメリカン・ミュージアム』を経営しました。
*商才(商売の才能があること)
最初にプロデュースしたのはジョイス・ヘスという黒人奴隷の女性でした。彼女の売りは『1700年代後半のアメリカ初代大統領、ジョージ・ワシントンの乳母だった』という点でした。しかしこれは嘘でした。彼は話題性を集めるための”ホラ”を吹くことで集客に成功したのです。その後も猿にヒレを付けた『フィジーの人魚』など、様々な”oddities”(風変わりな)の見世物でショーを行いました。映画の通り「将軍トム」に身長約63cmのチャールズ・ストラットン(写真右端と思われる)をプロデュースしました。1845年頃にはバーナムの率いる興行はヨーロッパ・ツアーを行い、イギリス女王ヴィクトリアにも会いました。1865年の最初の火事と68年の火事でミュージアムは無くなってしまいました。
世界で一番のショー”The Greatest Show on Earth”
ミュージアムは諦めたバーナムですが、協力者とともに移動ミュージアムを始めました。このツアー興行を『世界で一番のショー』としたのです。サーカスなどともタッグを組み、約3mの大きな象『ジャンボ』は大人気になりました。もしかしたらサーカスに象がいるのはこの頃からかもしれませんね。
バーナムのツアー興行はその後複数の団体と合併し、リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスという名前になりました。リングリング兄弟、バーナム、ベイリーが合わさったアメリカではとても有名なサーカスでした。そう、「でした」なのです。動物愛護の問題等から次第に事業を小さくせざるを得なくなったサーカス団は2017年5月、最後ののショーを終え、「サーカスではさようならとは言いいません。ただ、道の先で会いましょうと言います」と言って幕を閉じました。映画『グレイテスト・ショーマン』がアメリカで公開されたのは12月20日。もう少し長く続いていれば見られかもしれないのに、と少し残念に感じてしまうような気がします。
興味を持った人は「バーナム効果」という心理学の用語を調べてみるのが良いかもしれません。
参考:P.T. Barnum biography https://www.biography.com/people/pt-barnum-9199751
Ringling Bros. and Barnum & Bailey Circus http://www.ringling.com/