私は何のために作られたの?
作品だけでなく、映画『バービー』はサウンドトラックも世界中で大人気となりました。数々の人気アーティストたちが曲を提供していて、その豪華さには驚かされます。それと同時にすごいのは、どの曲も映画の場面にぴったりとハマっていることです。
中でも観客たちの心を掴んだ曲の一つが、ビリー・アイリッシュによる『What Was I Made For』。「私は何のために作られたの?」と問いかけるこのバラードはこの映画のために書き下ろされたものです。映画の終盤の大切な場面に登場し、多くの人の涙を誘っています。
この映画に主演したマーゴット・ロビーも、インタビューで次のように答えています。
「この楽曲を聞いたときに泣いてしまったし、今でも泣いてしまう。」
私の心はどこにあるの?
この曲が作られた時、実はアイリッシュ自身もスランプに陥っていたといいます。
映画『バービー』の監督であるグレタ・ガーウィグから映画に曲を提供してもらえないか、と依頼を受けたときにも不安はあったようです。けれども、映画の一部分を見て、ガーウィグ監督と会話をした翌日には、この曲の冒頭部分が出来上がりました。バービーとガーウィグ監督によって引き出された曲だ、とアイリッシュは語っています。
アイリッシュはこの曲について、次のようにも言っています。「この曲を作っている間、バービーの気持ちしか考えていなかった。」しかし、出来上がった曲はまさに彼女が感じていたことがそのまま、歌詞に表現されていたと感じたそうです。
人形遊びは、遊んでいる人の創造力が大きく反映される遊びです。しかし、不思議なことにまるで鏡写しかのように、遊んでいる人の一部や考え方といったアイデンティティーが表に出る遊びでもあります。
自分の想像や声がバービーのそれと重なる。自己と向き合い、自分の心の声に耳を傾ける原動力となる不思議な力を、バービー人形は持っているのかもしれません。
バービーと自分らしさ
映画『バービー』では、主人公である典型的バービーやケンが、自分のアイデンティティーに悩む姿が描かれています。バービーとは、ケンとは、バービーランドとは、女らしさとは、男らしさとは、人間とは、完璧さとは……幸せとは。そして、自分はいったい何者なのだろうか?自分らしさとは?と、彼らは思い悩みます。
彼らのそんな悩みは、現実世界でも多くの人が抱えるものではないでしょうか?観ているうちに、バービー達の悩みは、皆さんの抱えている悩みと同じと感じられる気はしませんか?
自分らしさについて悩むバービーやケン達と共に、「私は何のために作られたの?」という問いかけへの答えについて、考えてみるのはいかがでしょうか。
2023/10/25からデジタル配信開始!▷▷▷https://amzn.to/3rVet7D
1回目の記事はこちら!https://knotitia.com/archives/2350
2回目の記事はこちら!https://knotitia.com/archives/2352
3回目の記事はこちら!https://knotitia.com/archives/2354
4回目の記事はこちら!https://knotitia.com/archives/2357
参考資料
Inside the Barbie Movie: How the Massive Movie Came to Be | Time
黒木りりあ