映画『バービー』と考える「多様性」

バービーもケンも一人じゃない?

映画『バービー』の最大の特徴は、作品に登場するバービーやケンがそれぞれ1人ではないことです。登場キャラクターとして紹介されているだけでも、バービーは12人、ケンも6人。実際の映画にはより多くのバービーとケンが登場します。それぞれのバービーは異なる仕事・肩書を持っており、肌の色、体系、髪の毛や瞳の色など、見た目も異なります。

「バービーが多様であること」の重要性を、本作のプロデューサーである主人公である典型的なバービーを演じるマーゴット・ロビーも強調しています。

「もしもマテル社(バービー人形を販売する会社)が複数のバービー登場させることに合意しなかったら、わたしはバービーの映画を作ろうとは思わなかったでしょう。『このバージョンこそがバービーで、女性はこのバービーみたいな見た目や振る舞いを目標にするべき』だなんて、言うべきことだとは思えませんから」

バービーと多様性

multiracial people 多様な人種
Photo by Clay Banks on Unsplash

そもそも、映画の題材となっているおもちゃのバービー人形と多様性というキーワードは切っても切り離せない関係にあります。

「バービー人形」と聞いて人々が思い浮かべる姿はどんな姿ですか?

金髪で青い瞳に白い肌、スレンダーな若い女性の姿を想像する人は少なくないでしょう。このようなイメージは世界中の人が共通して抱いているものです。

その見た目へのあこがれが影響してか、バービー人形で遊ぶ女の子はそうでない女の子と比較して「痩せたい」という気持ちが高くなる可能性がある、という研究結果があります。また、バービーの見た目は民族の多様性を反映していない、という批判も長らくありました。

つまり、バービー人形は長らく、多様性とは正反対のイメージを持たれてきたのです。

このような批判の声を受けて、マテル社は2016年に「プロジェクト・ドーン」計画を立ち上げました。この計画の一環として、新しく24種類の髪形、22種類の瞳の色、7種類の肌の色、3種類の体型のバービーが発売されることとなりました。この新たなバービー達は世界中で大ヒット。成功を受けてマテル社は継続的により多様なバービーの販売を実施しています。

2017年には多様化の波はケンにも到来します。新しく9種類の髪形、8種類の髪の色、7種類の肌の色、3種類の体型のケンが発売されました。 まだすべての人を包括できているわけではないものの、バービーと多様性という言葉は非常に近いものとなりました。

あなたはどのキャラクター?

どれだけ意識をしていても、映画『バービー』も万能ではありません。すべての人々をカバーできているわけでもありません。ですが、この映画にはたくさんのキャラクターが登場します。たくさんのバービー達、ケン達に加えて、バービーの友達であるミッジやそのボーイフレンドのアラン、バービーの妹スキッパーといった人形たち。さらに、人間世界に暮らすグロリアやサーシャといったキャラクターに、マテル社の人々まで登場します。

多種多様なキャラクターを楽しみつつ、自分に近いキャラクターや共感できるキャラクター、目標にしたいキャラクターを探してみるのはいかがでしょうか。

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前回の記事はこちら!▷▷▷https://knotitia.com/archives/2350

参考資料

TIME社記事 ”How Barbie Came to Life”(英語)

VOGUE Japan「男女平等に多様性……。バービーは時代の代弁者になりえるか?」

GQ Japan「多様化するバービーの恋人ケン──「イエス、ウィー・ケン!」」

VOGUE Japan 「バービーが社会を反映している? 人形が抱える文化的な重責。」

黒木りりあ

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