祝・第76回ゴールデングローブ賞&第91回アカデミー賞三冠三冠!
アメリカでは2018年年末に公開され、大絶賛されています。トロント国際映画祭で観客賞、ゴールデングローブ賞とアカデミー賞ではいずれも作品賞・助演男優賞・脚本賞を獲得しました。
世界中の数々の映画賞で134の部門でノミネートされ、53の賞を獲得していることからも期待の大きさがわかります。(ホームページより、2月26日時点)
映画『グリーンブック』、日本では2019年3月1日公開です!
-あらすじ–
時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。
https://gaga.ne.jp/greenbook/about.html
映画のポイントは?
映画のタイトルにもなった、グリーンブックという単語。
1936年から1966年の30年間に渡ってアメリカの黒人向けに発行された本の通称です。けれど普通の本ではありません。白人と黒人が区別されていた時代、黒人の旅行者が利用可能・安心して使うことのできる施設を紹介したガイドブックでした。
1950年代半ばからアメリカでは、黒人に選挙権を与える公民権運動が激しくなっていきます。もともと黒人に対する扱いが差別的な南部ですが、この公民権運動の盛り上がりがますます攻撃的な白人を生み出していた状況もあります。
当時のアメリカ南部では黒人に対する差別的な法律が多くありました。
■白人と同じホテルに泊れない。
■レストランも制限がある。
■日が暮れると黒人は外に出てはいけない。
■学校は人種によって分かれている。
■公共のバスでは前方が白人席、後方が黒人席。しかし黒人席に黒人が座っていても白人席が満席であれば譲らなくてはならない。
映画の中でもドクターシャリーをピアニストとして受け入れ、歓迎の意を表しながら室内のトイレを使わせない、控え室も狭い倉庫の中、自分がコンサートを行うレストランでさえ黒人である事で食事をするのと断られるシーンがあります。
実はモデルがいた!
映画に出てきた主人公トニー・リップは本名トニー・バレロンガ。ニューヨークのブロンクスで生まれたイタリア系アメリカ人です。アメリカでブロンクスといえば移民が多く暮らす貧民街という認識があります。
トニーはシャーリーとのツアーが終わると、俳優として活動し有名な『ゴッドファーザー』にも出演しました。
そしてドクター・シャーリーは本名ドナルド・シャーリーといいます。ドクターと呼ばれる理由は、音楽、心理学、典礼芸術と3つの博士号(英語でドクター)を持っていたからです。
映画にも描かれたこのツアーの後、二人の友情は半世紀続きました。そして二人とも2013年に亡くなりました。トニー・リップは82才、ドクター・シャーリーは86才でした。
実はトニーの息子で、俳優・脚本家・映画監督のニック・バレロンガがこの映画『グリーンブック』を共同脚本。見事にゴールデングローブ賞とアカデミー賞の両方で賞を獲得しました。
1960年代のアメリカの黒人が置かれていた状況がわかる映画です。日本での公開はあと少し。待ちきれません!
映画『グリーンブック』公式ホームページ
コメント
あざみ さん
Green Book、昨日観てきました!鑑賞前にこの記事を通し、グリーンブックや主人公二人のことを知っておいて良かったです。とにかく脚本が素晴らしい!「人種差別」というデリケートなテーマを扱い、かつ主人公はドクター・シャーリーという当時のアフリカン・アメリカンとしては異色の経歴を持つ人物です。だからこそこの映画が扱うのはいわゆる「黒人差別」だけに止まりません。それにも関わらず辛辣すぎない、爽やかなヒューマンドラマに仕上がっていたと思います。