
『それでも夜が明ける』(12 Years a Slave)は、2013年に公開されたイギリスとアメリカの歴史ドラマ映画です。1853年に発表された、ワシントンで誘拐された後に奴隷として売られた自由黒人、ソロモン・ノーサップの奴隷体験記となる「Twelve Years a Slave」が原作になっています。
ソロモン・ノーサップは自由黒人でありながらも拉致されることになり、その後は12年もの長い間奴隷生活を強いられることになります。彼は解放されるまでの12年間、ルイジアナ州にあるプランテーションで働いていたのです。
主人公のソロモンは、生まれたときから自由証明いわゆるフリーペーパーとして認められた自由黒人になり、愛する家族達と一緒に暮らしていました。彼には黒人以外に白人の友人や知人もいて、自分は奴隷制とは関係ないと思っていましたが、そんな彼にある日突然黒人差別が降りかかってくることになります。
ソロモンが誘拐された時は奴隷貿易の禁止や南部で奴隷の需要が高まったことが原因で、奴隷売買人による自由黒人の誘拐が多くなっていたことから、それも一因になったようです。
突然誘拐されたソロモンが様々な出来事を繰り広げていく、見どころ満載の作品と言えます。
壮絶な奴隷生活と主人公が持っていた希望とは
それでも夜は明けるは、奴隷生活を強いられるソロモン・ノーサップの生活と、彼が抱いていた希望に注目が集まる作品です。映画には、ソロモンの地獄のような奴隷生活が描かれています。
いくつもの苦しいシーンがありますが、その中でも象徴的と言えるのが、ソロモンが首を吊られる場面ではないかと思います。ここでは白人の手によって木の枝から首を吊るされることになりますが、つま先が地面に届いたことでかろうじて死を免れます。
しかし助かったからと言って楽になったわけではなく、息がつまりそうな状態は続きます。「誰か早く助けて欲しい」、「首のロープを取って欲しい」など、彼が抱いていたのは「自由」というものでした。黒人奴隷の厳しい現実からの脱却を目指す場面が、強く感じられる作品です。
罪深い人種差別を通じて感じることとは
それでも夜は明けるでは、12年間奴隷生活を送った主人公ソロモン・ノーサップの奴隷生活や自由な人生を諦めない希望を感じることができます。
自分には無関係と思っていた時に突然黒人差別が襲ってくる、そんな怒涛とも言える生き様を描いています。
罪深い人種差別を通じて、様々なことを感じる人も少なくないと思います。「自由は不自由の中にあり」という有名な言葉もありますが、時には不自由に思うほど他者に配慮して助け合わなければ、本当の自由な人生を送れないのかもしれません。
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