こちらのパーカー。一見なんの変哲もない普通のパーカーに見えるでしょうか。
でも違います。このパーカーにはある人のたくさんの思いとアイディアが詰まったパーカーなのです。
高校生の起業家、加藤路瑛(じえい)さん。彼には「感覚過敏」という症状があります。
人間の持つ五感、視覚・嗅覚・味覚・聴覚・触覚。これらの機能が脳の処理能力によって過剰な感覚を引き起こし、身体に影響がある症状のことを言います。
世間ではまだまだ知られておらず、その感覚と孤独に戦う人も多くいるとされます。加藤さんも自身が感覚過敏と知ったのは中学1年生でした。
感覚過敏ってなんだ?
感覚過敏だと、日常生活にどんな影響があるでしょうか。
例をあげてみました。
視覚:目で見える情報が多すぎて集中ができない・光が増幅して常に眩しい、等
嗅覚:「いい匂い」と言われる匂いを強く感じて吐き気をもよおす・数百メートル先の小さな匂いを感じる、等
味覚:特定のものを口に入れることができない・味の小さな変化が気持ち悪く感じる、等
聴覚:すべての音が同じ大きさで聞こえるため聞きたい音が聞こえにくい、等
触覚:肌が触れるもの、衣服等を痛いと感じてしまう・歯磨きを痛いと感じる、等
人によって個性のように感じ方や刺激の強さは様々です。
《特別視はせず、困ることがある状態に寛容であってほしい》と加藤さんは考えます。
こちらも:【感覚過敏とは?】(感覚過敏研究所HP)https://kabin.life/hyperesthesia
感覚過敏の自分だからこそできることを
2018年に起業していた加藤さん。自身の会社での新しい事業として、「感覚過敏研究所」を立ち上げました。
感覚過敏はまだ知られていない、当事者の自分も知らなかった。それならば自分で発信しよう、という気概です。
感覚過敏の人のコミュニティを用意する、グッズを作る、記事を発信する。
そしてそれらの事業に新しく取り入れる分野が、アパレルです。
触覚過敏の加藤さんは小さいときから「服が痛くて着られない、でもおしゃれはしたい」という悩みを抱えていました。
服を着る、は日常生活で24時間常に行われる動作です。けれど触覚過敏だと普通の感覚を持った人ならば気にしたこともないような服のあらゆる点が、「痛み」に変換されてしまうのです。
服の縫い目、首元のタグ、パーカーのフード、衣擦れ。すべてが痛みでストレスなのです。
どの家庭でも、服の購入に苦労します。購入時は刺激が少なくても、洗濯で毛羽立つと刺激になってしまう。加藤さんの場合、肌着はなかなか新しいものが見つからないため、小学生から同じものを着用せざるを得ないといいます。
第一弾のパーカーとクラファン中!
ブランドの第一弾として制作したパーカー。
加藤さんは「まずは自分自身が気持ちよく着られるものを」を目指して作成しました。
生地屋さんとの打ち合わせで試した素材は400種類以上!
何度も感触を確かめ、納得のできる一枚にたどり着くことができました。
より優しい肌触りの柔らかさを求め、縫製後に「洗い加工」を施しました。
全体的にゆったりと生地を使うことで、肌との接地面を少なくしました。
首元にタグは付けません。フードにはワイヤーを入れ、左右を向いても顔に当たりにくい加工がされています。顔の周りには手のひら一枚ほどの隙間がありました。
顔から首のあたりは特に神経が集中し刺激が強いため、気を配ったそうです。
通常内側に縫い目は隠されていますが、これを外側へ。縁取りに色を使い、デザインの一部にしました。その縫い目の位置も、リュックを背負うときに圧迫され刺激の原因となるため、体のラインから外した位置にしています。
★クラウドファンディングは2021年10月24日まで!
以下のページで2,500円から支援ができます。
新作のパーカーの購入もできます。
https://camp-fire.jp/projects/view/428761
加藤さんから同世代へメッセージ
何か挑戦したいことがあったとしても「失敗してしまうかも」と怖くなることがあるかもしれませんが、失敗も成功も存在しないと思っています。失敗も成功もただ一瞬の評価です。なので、失敗や成功を意識しすぎずに、やりたいことがあれば挑戦してみてほしいです。
参考URL
感覚過敏研究所
加藤路瑛さんtwitter
https://twitter.com/crystalroad2006
マスク等の着用が困難な状態にある発達障害のある方等への理解について(厚労省HP)