日本人の知らないヨーロッパ!【モルドバ編】

撮影:カジヤマシオリ

文責:カジヤマシオリ


みなさんは「モルドバ」という国をご存じですか?

そう問いかけると「モルディブ」と聞き間違えられることがよくあります。かろうじて名前は知っていても、どのような国か説明できる人は少ないでしょう。

確かにモルドバは、日本人にとってなじみのある国とは言えません。ですが、なじみのない国のことを知ると、世界はぐっと身近になります。

モルドバはいったいどんな国なのか?実際に旅した経験とともに、紹介します!

モルドバってこんな国!

まずは、モルドバがどんな国なのか、をデータの面から見てみましょう。

・面積:約3万3843㎢ (九州より少し小さい)

・人口:約355万人 (日本だと静岡県が367万人)

・場所:東ヨーロッパ。ロシアに近く、ウクライナとルーマニアに挟まれている。

モルドバには、約355万人が住んでいます(2017年統計)。2014年のデータでは約291万人でした。つまり3年間で50万人以上も人口が増えたということで、人口が減り続けている日本とは状況が異なりますね。

ヨーロッパの東にある国で、日本最北端の宗谷岬と同じくらいの緯度です。長い冬を乗り越えるべく、人々は知恵を絞り生活しています。

続いては、モルドバの経済事情。

国民の収入力を示す指標のひとつ、GDP。モルドバの国民ひとりあたりのGDPは、1,910ドルです(2016年:IMF)。他のヨーロッパの国と比べると、GDPでモルドバを下回るのはウズベキスタンやキルギス、タジキスタンのみ。このデータから「ヨーロッパ最貧国のひとつ」と紹介されることもあるのです。モルドバは耕作や酪農など、農業をするのにぴったりな環境を持つものの、工業やエネルギー資源などは乏しく、輸入に頼っている一面があります。

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私はモルドバを説明するとき「恋のマイアヒ」(2003)という曲を話題にすることがよくあります。「O-Zone(オゾン)」というミュージシャンの曲なのですが、彼らはモルドバ出身。軽快なディスコサウンドもさることながら、ルーマニア語の歌詞が「飲ま飲まイェイ!」と日本語っぽく聞こえることから、瞬く間に日本でも流行りました。

モルドバを知らなくても、「恋のマイアヒ」を知っている人は多いのではないでしょうか。

周りに左右され続けたモルドバの歴史

データだけでは、モルドバがどんな国なのかイメージするのは難しいかもしれません。そこで、この国を語る上で欠かせない「歴史」を紹介します。

”MOLDOVA”はどこでしょうか?

今のモルドバができたのは1991年のこと。モルドバ共和国として独立宣言をしたのを機に、ひとつの国として歩みはじめました。

それまではオスマン帝国やロシア、ルーマニアなどがずっと支配してきました。何度か独立のチャンスはあったものの、革命や戦争が原因で、やむなく断念。第二次世界大戦中には旧ソ連が占領し、モルドバも旧ソ連の国(モルダヴィア・ソヴィエト社会主義共和国)になりました。しかし弾圧や迫害を受けていたことから、旧ソ連からの独立を望む声が高まり、ロシアから、ヨーロッパのひとつの国になる覚悟を決めたのです。

長い間、モルドバは自分たちの国の歴史を歩めませんでした。旧ソ連の時代はロシア語で生活しなければならなかったことから、今も国民の大半がロシア語を話せます。

第一次世界大戦中には、列強諸国(れっきょうしょこく、強い国々)の支配から逃れるため、妥協案として国力のあるルーマニアの一部になったこともあります。独立後、数年間はルーマニアと同じく「目覚めよ、ルーマニア人!」を国歌にしていましたが、現在は「我らが言語」という自分たちの国歌を持っています。ロシアとは反対に、ルーマニアには友好的なイメージを持っている人が多いのです。

日本とモルドバ

一方で、日本との関係はどうでしょうか。テレビやインターネットで見聞きすることは少なく、情報は多くありません。しかし、日本とモルドバは外交関係ができてからすでに25年が経っています。2007年からは、日本のパスポートがあれば、ビザなしで90日間以内の滞在ができるようになりました。

これまでモルドバの経済はロシアに依存していましたが、ヨーロッパ全土はもちろん、日本に向けて積極的に輸出をするための方向転換の最中にいます。

また、日本の歴史・文化はモルドバでも大人気です。

その証拠に、首都のキシナウにはモルドバ日本交流財団という団体があります。モルドバで唯一、日本について学ぶ環境を提供している団体です。日々、勉強熱心な子どもたちが日本について学んでいます。とくに「東京喰種」「三月のライオン」など、日本の漫画は大人気。毎年6月には勉強の成果を発表する「文化祭」を開催していて、空手や剣道、茶道や日本舞踊を披露するステージはいつも大盛り上がりです。独自の歴史を持ち文化を花開かせた日本に対し、敬意を払っている人が多い印象です。

その一方で、物理的な距離もあってか、日本は「別世界にある国」と考えている人が多いのも事実です。モルドバ国内でも日本製の車は走っていますが、庶民の手が届く値段ではないため、人々にとっては憧れの存在。他のアジアの国と一緒くたにされることも多く「ジャッキー・チェンがいるのは日本だったか?韓国だったか?」と聞かれることがありました。

国としての歴史はまだ短いモルドバ。あらゆる面で今もロシアの影がちらつき、まだ日本とは強い結びつきがあるとはいえません。しかし、データや歴史しか知らないモルドバを旅をすると、みるみるうちにその魅力にのみこまれていくのがわかりました。

次回は、自分の目に映ったモルドバをそのまま、お届けします!

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参考URL

【外務省】モルドバ共和国(Republic of Moldova)基礎データ

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/moldova/data.html

【キンダーメル】【ご報告】モルドバ日本交流財団を訪ねました。

【統計局ホームページ】人口推計(平成29年(2017年)12月確定値,平成30年(2018年)5月概算値) (2018年5月21日公表)

http://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html

地理的座標と地図 キシナウ – モルドバ共和国

https://www.horlogeparlante.com/地理座標-618426.html

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