最近のハリウッド映画関連のニュースでよく耳にする言葉のひとつ、ホワイトウォッシュ。これは、白人でないキャラクターを白人の役者が演じる、という言葉です。20世紀半ばまでに多かった演劇の手法でしたが、様々な人種の人が活躍するようになったことや、ホワイトウォッシュを不快に思う人が多くいたため、20世紀後半にはホワイトウォッシュは少なくなりました。しかし、21世紀になってもなくなることはなく、近年では映画に扱われる題材が国際化したために、激しく議論されるトピックになっています。
代表的な例として、2017年に公開された『ゴースト・イン・ザ・シェル』が挙げられます。これは『攻殻機動隊』という日本のマンガをハリウッドで映画化した作品です。日本人であるヒロインを白人の女優スカーレット・ヨハンソンが演じたことで、日本以外の世界中で「ホワイトウォッシュだ!」と批判されました。(なお日本では、ハリウッドでの映画化=白人が演じる、と思っている人が多かったため、批判されることはあまりありませんでした。)
現在もなおハリウッドにはびこるホワイトウォッシュ。『クレイジー・リッチ!』と『好きだった君へのラブレター』は共に作品自体の素晴らしさだけでなく、ホワイトウォッシュに屈することなくアジア系の俳優がヒロインに起用されたことで評価されています。しかし、この2作品がホワイトウォッシュと無関係であったわけではありません。
原作者が明かす、ホワイトウォッシュ
『クレイジー・リッチ!』の原作者、ケビン・クワンは、小説のヒット直後に複数の制作会社から映像化の打診があったものの、ヒロインを白人に変更したい、と要望されたことをインタビューで明らかにしています。クワンはteen vogueの取材に次のように答えています。
「売り込んできたひどいプロデューサーの一人は、ヒロインをアジア系から白人に変更することを強く勧めてきました。そうでないと誰もこの映画を観ようとはしないだろうから、と。 (「白人のキャラクターが登場しないのは残念なことですね」ともプロデューサーから言われたという。)
『好きだった君へのラブレター』の原作者ジェニー・ハンも同じくteen vogueのインタビューでクワンのようにホワイトウォッシュを提案されたかと質問され、こう答えています。
「はい。最終的にその人達と仕事をしないことにしましたが、早い段階では同じ事が起こりました。私にとってより注意するべきなのは、どうしてこれが問題なのか、人々が理解していないことでした。」
このように、映像化を原作者に提案する段階から主人公を白人に変更してしまおうとするほど、ホワイトウォッシュはハリウッドにはびこっているのです。
勢いは止まらない!
更に、『クレイジー・リッチ!』『好きだった君へのラブレター』はどちらも原作が三部作であるため続編が存在します。映画の大ヒットを受け、『クレイジー・リッチ!』は続編となる二作目だけでなく、三作目の映画化もほぼ決定したと報じられています。また、『好きだった君へのラブレター』は二作目の製作決定が昨年の12月にNetflixから正式に発表されました。このまま勢いを止めずに、アジア系旋風が吹き続けるといいですね!
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参考文献
“Crazy Rich Asians” Author Kevin Kwan Optioned His Book for Only $1
https://www.teenvogue.com/story/crazy-rich-asians-author-kevin-kwan-optioned-book-one-dollar
Jenny Han Says Some Hollywood Execs Tried to Whitewash “To All the Boys I’ve Loved Before,” Too
https://www.teenvogue.com/story/jenny-han-interview-to-all-the-boys-ive-loved-before-movie
Crazy Rich Asians: The end of whitewashed casting choices can’t come too soon