日本に帰った稲葉さんは、デンマークの経験を踏まえて自分のやってみたい事を模索しました。
「子ども達が教育を受ける上で、学校以外の選択肢があっていいのではないか?」
そう考えた稲葉さんは、フリースクール全国ネットワーク主催のフリースクールスタッフ養成講座に参加し、フリースクール設立のノウハウを学びました。
その後、スクールに適した場所や開設のための資金作りに奔走します。クラウドファンディングも利用しました。
そして2016年。小山市に「小山フリースクールおるたの家」を開校しました。
一般の民家を借り入れて普通の家庭のようなところで過ごします。月曜日から金曜日までの平日の日中に運営しています。
受け皿から選択肢へ
フリースクールは、受け皿というようり選択肢ととらえてもらった方がしっくりくるそうです。
私達は教育というのは国や政府から与えられるべきものと信じ込んでしまっています。
みんなで一緒に効率よく成長する時代は、それでもよかったのかもしれませんが、今のようにな多種多様な価値観が要求されている時代にはそぐいません。
稲葉さんはその考え方に基づいて新しい教育の場を設けることを考えました。
「小山フリースクールおるたの家」の理念は三つ。
1 居場所であること。
2 自由であること。
3 協調すること。
学校に行く目的が教科を習得することだけではないのと同じように、フリースクールは子どもたちにとっての居場所であることを第一であると考えます。
さらに日々の生活の中でさまざまなものに触れ、自分とは、自由とは何かを自分で発見し、自分に必要なことは何かを見極め実行してゆく。
特定の教科を学んだりすること以上に、これからを生きる上で必要な力だと考えられます。
また、最低月1回はミーティングの場をもうけ月毎のプログラムを生徒同士やスタップで決めます。また、その時々の問題や個人の間で起こった問題を話し合いによって解決していくことを学びます。
他者と相互につながり合うことを通して、互いを承認して初めて居場所を作ることができるのだそうです。
まだまだ成長するために
スクールを運営し続けるためには資金が必要です。
当然、有料なシステムのため保護者の理解も必要です。昨今はコロナの影響もあって通学する子ども達は減ってしまったそうです。
また不登校の子どものうち保護者の理解が得られない子ども達、例えば貧困や虐待の下にいる子ども達にも学びの機会を提供するためにも、児童相談所のような公的機関との連携も、ゆくゆくは必要と考えています。
「子どもたちが教育を受ける上で、学校以外の選択肢があっていい。」
稲葉さんは、常にそう考えます。子ども達や、保護者さん、教育関係者、そして社会に向けてそうメッセージを発しています。(文・鹿島ジル)
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【小山フリースクールおるたの家】フリースクールって何だ?
参考▽▽▽
小山フリースクールおるたの家 HP
https://orutaoyama.amebaownd.com/
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