映画『ヘイト・ユー・ギブ』 誰が少女に憎しみを与えたのか

「警察官が罪のない黒人青年を銃で殺してしまった」という実際の事件をきっかけに書かれた、同名小説が原作の映画です。

白人社会で生きる女の子が主人公

映画の主人公は16歳の黒人の女の子、スター・カーター。父親から黒人の誇りを守りつつも、白人社会と共存していく方法を教えられて育ちます。そんな彼女が通うのはほとんどの生徒が白人の進学校。学校の友人も彼氏も白人です。

ある日、スターは久々に黒人の友人たちが開催するパーティーに参加。幼馴染の男の子に車で送ってもらっていたところを白人の警官に止められます。二人は渋々、警官の指示に従うことに。ところが、幼馴染がふざけてブラシを手にすると、警官は銃で幼馴染を撃ち殺してしまいます。警官はブラシを銃と勘違いしたのだと主張。

市民を守るべき警官が、正当な理由なく、目の前で、武器を持たない幼馴染を射殺した。そんな光景を目の前にしたスターはショックを受けます。

この事件は悲しいことに、真実とは異なった、警官を守る報道にされてしまいます。さらに、この事件は学校では他人事のように扱われる始末。この状況に違和感を覚え、だんだんと物事の見方が変わったスター。やがて自分の言動について考えを変えていき、社会の不条理と向き合おうとします。

世の中には2種類の黒人が存在する?

イメージ図、Photo by alex starnes on Unsplash

物語の鍵となるのは、スターが黒人社会と白人社会の両方の世界に居場所を持つことです。二つの世界でそれぞれの顔を使い分けていたスター。彼女は学校では「白人社会に馴染みやすい黒人」を演じていました。

事件を機に幼馴染の無念を晴らしたいと思うようになったスター。白人の友人たちの無意識な黒人差別をも目の当たりにし、段々と「馴染みやすい黒人」を演じることが難しくなります。そして友人から「あんたはほかの黒人とは違う」と言われた時、彼女の感情が爆発します。

非黒人社会では、無害そうな「大丈夫な黒人」と犯罪などを起こしそうな「大丈夫じゃない黒人」の2種類に黒人を分類しようとする傾向があります。

『スパイダーマン』シリーズで有名な女優のゼンデイヤも、過去に自身のことを「私は受け入れてもらえるバージョンの黒人の女の子」と語っていました。

私たちは白人を見て「大丈夫な白人」と「大丈夫じゃない白人」に分類するでしょうか? 

人種や見た目で正当な理由なく勝手に分類することは、差別です。大切なのは外見で判断するのではなく、中身で判断すること。そして、すべての人が自分らしく生きられる社会を協力して作ること。

是非、この映画に触れて黒人差別について改めて考えてみてください。

参考URL:

Amazon プライムビデオで見る https://amzn.to/3kwLNxS

ヘイト・ユー・ギブ – 作品情報・映画レビュー -KINENOTE(キネノート)

Zendaya: ‘I’m Hollywood’s acceptable version of a black girl’ (BBC) https://www.bbc.com/news/newsbeat-43879480

黒木りりあ 登録者

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA