痩せる=綺麗が本当に正解?

photo by Szabolcs Toth on Unsplash

SNSやメディアに流れる、綺麗な人たちの発信する写真や動画。痩せる方法や食材、料理やサプリの広告が溢れる日常。身体の部位が大きかったり、形が悪いと「綺麗じゃない」と他人に言われること。

そんな“当たり前”が溢れていると、どうしても人と比べて、「自分のここが、あそこがダメだから変わらなくちゃ」と思ってしまうことがあります。

思春期は特に自分の身体のことに敏感になる時期。日々変化していく身体に一喜一憂して、誰かの言葉やSNSに振り回されて、体重計の数字と毎日のようににらめっこ。100gでも体重を減らすために食事を抜き、少しでも痩せる食材を食べて、理想の数字を追い求める毎日。

そんな体型の悩みを抱えながら生活していたら、失明の危機に陥った経験を持つ人がいました。前の記事でも紹介した、ニュージーランドのパーソナルトレーナーmikikoさんです。

「栄養不足とストレスで、視力に関連する血管が一時的に詰まった」という診断を受けました。

摂食障害=食べ物を吐いて激痩せするやつ、ではない。

厚生労働省のHPには「食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常が続き、体重や体型のとらえ方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気をまとめて摂食障害と呼びます。」とあります。10−20代の若者がかかりやすいとされますが、何歳でも、男女関係なくかかることがあります。

mikikoさんは摂食障害の過去を隠していません。長年競技スポーツと向き合う人生を過ごし、19歳で競技生活をやめたとたんに変わっていく身体。その時に、これまで抱えていた身体へのコンプレックスが如実に現れました。大きな肩幅や、理想の体重からかけ離れた体重が、とにかく気になって仕方がなかったそうです。

雑誌やTVで情報を得て、とにかく様々なダイエットを試しました。食事を抜くこともあり、適正体重なのに太っていると感じていたのです。毎日の生活で感じる小さなストレスは知らぬ間に積み重なり、ある時暴食が始まりました。お菓子の大袋があっという間になくなる。罪悪感を覚えてトイレで吐き戻すこともありました。下剤を使った時もありました。

下の図は「摂食障害全国支援センター」の運営するサイトに掲載されているものです。

引用元:摂食障害全国支援センター

mikikoさんの場合、【明らかな低体重】は該当しなかったものの、それ以外はほぼ当てはまったとのことでした。

痩せ型と過食型が時期によって行き来するケースもあるようです。

身長167cmのmikikoさん。「現在の体重は60kg-65kgを行き来している」と言い切ります。でも当時は「体重50kgを切りたい、できれば40kg台に乗りたい」「そうでないと可愛くなれない」と根拠のない数字を追いかけていたそうです。

「○○kgがベスト」という基準は、人それぞれ異なる個性を無視して作られた基準です。人の体は十人十色、身長も様々。骨が細い人もいれば頑丈な人もいます。筋肉がつきやすい人もいれば、つきにくい人もいます。私たちの体は、「身体の重さ」を一般的に示した数字だけで定義することなどできません

でも誰もそんな理屈は話してくれず、誰かが定義した数字を盲目的に追いかける。それが正解だと言う人が多すぎて惑わされてしまう。

数字で目標を設定することに意味はあるのでしょうか?

何のために体型を変えたいのかをもう一度考えてみる

Photo by i yunmai on Unsplash

mikikoさんは「体重計は捨てていい」と言います。

一般的に体重は1日に約2−3kg変化します。変化する体重の内容は、脂肪ではなく、その日に摂取した水分や食べた物。脂肪と筋肉はそう簡単に増減するものではないからです。

「食事はなるべく朝昼晩食べるべき」と教えているとのこと。ご飯の量を見直すよりも、まずはバランスを気にするべきだだからです。栄養面で食事量が足りていない人は多く、食事量を増やすことが良い方向へ結果に繋がるケースが多いそう。

食事量を減らすと、身体が「次の栄養がいつ来るかわからないから」と省エネモードになってしまい、代謝が落ちます。反対に、バランス良く食事量を増やすと、身体がエネルギーを使ってくれるようになります。そうやって身体が喜ぶことをしていると、元気になって運動したくなるのです。食べるって大切です。

mikikoさん自身の食事を紹介してもらいました。

  • 朝ご飯はオートミール、ミックスナッツ、冷凍ベリー、プロテインパウダーとシナモン、牛乳。冬も温める程度で同じ内容。
  • 昼と夜は似たような食事で、繊維質の多い玄米などの炭水化物を取ります。魚を中心にタンパク質は必ず入れるようにし、豆腐、肉が偏らないようにする。
  • 間食は積極的に食べます。お腹が空くのは体が欲しているサイン。お菓子を空腹感を埋めるのではなく、フルーツや普段の食事で足りてないものをかじります。

mikikoさんは、トレーナーとはいえ、毎日運動しているわけではありません。運動は週に1−2回。立ち仕事で基本的な運動量が多いくらいでは、食事の内容が変わっているわけでも、食事量がとても多いわけでもありません。代謝が上がるように、身体が必要としているものを必要なだけ取るように心がけているそうです。

mikikoさんはご自身の経験からも、「身体を変えるばかり優先で、心が死んでしまうようなダイエットをしないで欲しい」と今日も発信を続けています。

▼mikikoさんの記事はこちらから!▼

参考URL

厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_eat.html

摂食障害相談ほっとライン https://sessyoku-hotline.jp/

摂食障害全国支援センターサイト https://www.edportal.jp/about/about_what.html

国立成育医療研究センター https://www.ncchd.go.jp/press/2021/211021.html

国立国際医療研究センター https://www.ncgm.go.jp/news/2021/20220208.html#:~:text=%E6%91%82%E9%A3%9F%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%80%81%E3%81%84%E3%82%8F%E3%82%86%E3%82%8B%E6%8B%92%E9%A3%9F,%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%8C%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

樋口夏穂 登録者

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA