キーワード:朴槿恵(パク・クネ)
韓国の政治家。1952年に慶尚北道大邱市で生まれる。父は1979年、大統領任期中に暗殺された朴正𤋮(パク・チョンヒ)。当選5回で保守派の与党であるセヌリ党(現自由韓国党)から大統領選に立候補し当選。2013年2月から2017年3月までの約4年間、第18代大統領を務めた。
韓国の朴槿恵(パク・クネ)元大統領が、2月27日に韓国検察から懲役30年と罰金1185億ウォン(約118億円)を求刑されました。大統領だった人物が、いったいなぜこのように重い罰を求められているのでしょうか。
朴元大統領は、2012年にセヌリ党から大統領候補として立候補し当選しました。女性の大統領が生まれたのは、韓国ではもちろん、東アジアでは初めてのことでした。
朴元大統領が就任してから100日を迎えるころの国民からの支持率は65%と、最初は期待されていました。
しかし2014年に起きた、死者・行方不明者合わせて304名にも上った事故であるセウォル号沈没事件での対応などをめぐり、国民の間で大統領への不信感が生まれ、支持率は下がっていきました。
そして2016年には、逮捕のきっかけとなった疑惑が発覚します。
朴元大統領には、崔順実(チェ・スンシル)という実業家の友人がいました。この崔という友人から指示を受け、朴元大統領は国の秘密文書を多数持ち出し渡していました。崔は政治家ではなく民間人。民間人が国の秘密文書を手に入れ、大統領に演説の仕方や金の流用などを指示し、大統領がその通りに動いていたという異常事態が発覚したのです。これは公務上秘密漏洩罪に問われています。
また、朴元大統領は他にも、サムスン電子、韓国ロッテグループなどの大企業に対し、崔が支配していた「ミル財団」「Kスポーツ財団」」という二つの財団に774億ウォン(約76億円)もの金を出すように迫ったり、乗馬をしていた崔の娘の活動費として、サムスン電子に433億ウォン(約43億円)を要求したりするなど、次々に疑惑が発覚し、朴元大統領は大統領の職務を停止されたあと失職し、逮捕されてしまいました。崔や崔の娘、サムスン電子の副会長など、一連の疑惑に関わった人物たちも逮捕されました。
はじめは8件だった朴大統領の容疑は、検察の捜査が進むにしたがって最終的には18件になりました。そして朴元大統領は公務上秘密漏洩罪、収賄罪*、強要罪、職権乱用罪などの罪に問われ、今回の求刑となったわけです。
4月6日には判決が言い渡される朴元大統領ですが、今後はどうなるのでしょうか。判決
が出ても、不服ならば控訴することもできるわけですから、刑が確定するわけではありません。隣の国で起こったこの大事件に引き続き関心を持ち、日々ニュース番組や新聞をチェックしてはいかがでしょうか。
*収賄罪(しゅうわいざい)
公務員が、会社などから利益を得られるように不正な取引を頼まれ、その見返りに賄賂(わいろ)をもらったり、賄賂を送るように指示したり約束したりする罪。賄賂とは、収賄をするときに送るお金や物のこと。
参考:韓国大統領選挙の投票始まる、大接戦制し初の女性大統領誕生か
https://jp.reuters.com/article/tk8294895-korea-election-idJPTYE8BI00V20121219
セウォル号犠牲者遺族に謝罪 真相究明誓う=文大統領
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2017/08/16/0900000000AJP20170816002500882.HTML
朴槿恵大統領、収賄罪など11の罪で立件 弾劾審判は3月中旬にも結論か
http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/28/korea-special-prosecutor_n_15062274.html
朴前大統領に懲役30年求刑 判決は4月6日
http://japanese.yonhapnews.co.kr/pgm/9810000000.html?cid=AJP20180227005600882